こんにちは。芦屋市の司法書士事務所「カルマリーガルオフィス」です
不動産登記の申請形態について
今日は試験でもよく出題される申請構造について勉強していきましょう。
不動産登記法には共同申請、単独申請、合同申請の3つの形式がありますね。
まず不動産登記の原則として当該申請をすることによって有利になる人を権利者、不利になる人を義務者として共同申請を原則としています。
共同申請が多くを占めるので、受験生としては例外である単独申請、合同申請を押さえておけば大丈夫です。
合同申請になるものは3つだけです。
共有物不分割特約、順位変更、根抵当権優先の定めですね。
この3つは申請形態だけでなく登記の形式、つまり主登記なのか付記登記なのか、また登録免許税や利害関係人などでも比較されるので注意が必要です。
次に単独申請のものを見ていきましょう。
少し多いですが何でもかんでも単独申請が認められるわけではありません。
例外が認められるときは必ず要件があるのは法律の常ですからね。
基本的に単独申請が認められるケースでは登記原因証明情報として公文書が要求されています。
公の機関が認めているのであればその登記の信憑性は非常に高いといえますもんね。
たとえば登記名義人の氏名変更、住所変更などは住民票などを添付します。
相続登記であれば戸籍が必要です。これらすべて市役所が発行してくれるものです。
さらに受験生なら瞬時に出てきてほしいのが根抵当権の元本確定登記の単独申請ですね。
①根抵当権者からの元本確定請求
②第三者が不動産を差し押さえた
③債務者、法人設定者が破産した
これらの3つのケースでの元本確定登記に単独申請を認めています。
いずれも相手が登記に協力しくれそうにないものばかりです。
①は根抵当権者がもう見限っていますし、②と③は債務者は夜逃げの準備をしているかもしれません。
こんなときまで共同申請を強いるのは酷ですからね。
さらに仮登記の単独申請についても見ておきましょう。
まず仮登記をする段階では登記義務者の承諾があるだとか登記を命ずる処分があるだとかの場合に単独申請が認められますね。
仮登記の抹消については登記権利者は登記識別情報を提供するか、あるいは義務者、利害関係人の承諾書を提供して単独抹消が認められています。
仮登記はそもそも順位保全効としての効力しかなく、本登記をしたときから対抗力が認められるものですね。よってとりあえずの登記なので結構広く単独申請が認められます。
他にも前回触れた信託の登記や権利消滅の定め、相続人不存在後の特別縁故者への958条3の審判などたくさんあります。
申請構造の視点で不動産登記法を横断的に見ていくのもかなり有意義だと思いますのでぜひやってみてください。
中村