こんにちは。芦屋市の司法書士事務所「カルマリーガルオフィス」の中村です。

今週は会社法、登記法でも非常に論点の多い株式会社の設立を勉強していきましょう。

設立で大事なのは比較です。
設立方法には発起設立募集設立の2種類があります。
設立手続きに関与した発起人だけでやっていく発起設立と
第三者の資本を募って会社を立ち上げていく募集設立です。
募集設立では発起人以外の多くの人が関わっていますので財産の所在が重要になります。
会社が成立しなかった場合に多くの人に迷惑がかかりますからね。

この考え方から発起設立と募集設立では多くのポイントで異なる点が出てきますので少し意識して勉強するようにしてください。

ではまず会社の発起人論点について見ていきましょう。

発起人は定款を作成します。
さらに発起人が数人いれば発起人組合として過半数で決めていくことになりますね。
民法の組合と同じです。

発起人の資格としては特に制限ありません。
未成年、法人、制限行為能力者なんでもOKです。

ちなみに発起人たるもの1株は出資しないといけません。
出資をしない発起人がいれば設立無効の原因となります。

次に原始定款を見ていきましょう。
ここも非常に論点が多く、また登記法ともつながるところなのでしっかり勉強しましょう。

まず絶対的記載事項の6つは瞬時に出したいところです。
その中で発行可能株式総数のみ公証人の認証が終わった後でも設立までに決めることができますね。。
この決定機関は発起ならば発起人全員で、募集なら創立総会です。
やはり重要事項なので要件はきびしめです。
さらにこの後に公証人の再認証はいらないんですね。
ここまで押さえておけば大丈夫でしょう。

ここで設立時の原始定款を変更できるケースを4つ押さえておきます。
①裁判所が不当であるとしてその事項を変更決定
②裁判所の変更決定に対して当該事項を廃止
③発行可能を設定、変更
④募集設立において創立総会で変更

上記のケースでは一度公証人の認証があったにもかかわらず自分たちの関与だけで定款を変更できるんですね。

次に変態設立事項についてみていきましょう。
これらは定款に記載しなければ無効といわれるもです。
なぜ無効かと言うとこれらの4つは会社の財産的基礎が揺らぐ可能性があるんですね。
会社法は設立段階で会社の財産が散逸するのをすごく嫌う傾向にあります。
そのため募集株式のところでは定款に記載する必要のなかった現物出資についても設立段階では定款に記載しないと認めないぞということです。

①現物出資
②財産引受
③発起人の報酬
④設立の費用

①は発起人しかできないことに注意しましょう。

さらに上記の4つは検査役の調査が必要になりますね。
ただし、①と②についてはこの調査を省略できるケースが3つあります。

受験生としてはこれを募集株式で現物出資をしたときの検査役省略ができる5つのケースと比較して押さえておきたいところです。
とにかく会社法は比較の科目ですからがんばってください。

①現物の価額が総額500万円を超えない場合
②市場価額のある有価証券でその価額が市場価格を超えない場合
③現物出資の価額が相当であると弁護士などが証明した場合

①は条文の文言では「総額が500万円を超えない」です。
少し具体的に見ておきましょう。

例えば、Aが300万円の車をBが400万円の不動産を現物出資した場合、合算して700万円なので省略できません。
仮に300万円の車のみ弁護士などに③の証明をしてもらったとしても省略できません。
基本的に総額で見るわけです。

②、③についても1つだけ。

Aが市場価格のある有価証券200万円を現物出資、Bが弁護士の証明を受けた動産600万円を現物出資をした場合、検査役の調査は省略できます。
財産の全てが②と③で収まっているので大丈夫です。

さて設立の論点はまだまだありますが今週はここまでにします。
次週も引き続き設立シリーズを勉強していきましょう。