前回同様、株式会社の設立について勉強していきたいと思います。
とにかく会社法は比較が重要です。

発起設立と募集設立の比較、
株式会社と持分会社の設立との比較

などあらゆる分野で比較ができる科目なので必ず比較を意識しながら勉強してください。

さてでは発起と募集で共通している点から見ていきましょう。

出資の払い込みは発起人が払い込んだ場所に払い込まないといけないところは共通しています。
(ちなみに持分会社にこのような定めはありません。)

また払い込み期日までに出資できないと株主になる権利を失います。
ただし、発起人については履行をしていなければ2週間以上の期日を待ってもらえる制度がります。これは発起人にはどうしても出資をさせたいからですね。

次に異なる点を見ていきます。
役員関係で言えば設立時役員は発起ならば発起人の議決権の過半数で選びますが募集ならば創立総会で選任します。
創立総会の決議要件も必ず瞬時に出るようにしておきましょう。
ここで大切なのは監査役の解任は発起なら発起人の議決権の3分の2が必要です。
募集なら創立総会になります。
監査役の解任でも創立総会はもともと要件が重いので変える必要はないんですね。

さらに設立時取締役は会社にきちんと財産が出資されているかどうかをチェックしますね。
(ここに見落としがあれば後述する設立者の責任問題になっていきます。)
そして違反があれば会社に報告します。報告先は発起なら発起人へ、募集ならば創立総会です。ここも分かれ目です。

創立総会というのは設立におけるチェック機関です。
設立段階において募集設立では多くの人が出資をして関わっています。
それなのに実体のない法人が設立されてしまうととんでもないことになりますね。
なのでみんなでチェックしようということで創立総会が存在するイメージです。

このイメージを持ちながら創立総会について勉強していきましょう。

招集通知は発起人がしますね。(設取はまだいませんからね。)

さらに大事な知識としては招集通知に記載したこと以外は総会で扱えないのが原則ですが例外として定款変更と設立の廃止については議題として扱えるんですね。
さらにさらに設立の廃止については議決権のない株主も議決権行使に加われます。
受験生としてはここまで押さえておきたいところです。
やはりチェック機関なので普段から関心のある事柄だと考えていいと思います。

創立総会の権限ですが結構幅広いイメージで株主総会と比較してもあまり異なるところはないように思います。
議決権行使の方法についても株主総会と変わりません。
議決権不統一行使
累積投票
議決権の代理行使
幅広く認められます。重要なのはチェック機関なので決議方法は特にうるさくはないぞということなんですね。

次に株式の引き受けの意思表示の取消しなどについてですがここは設立後の募集株式における引き受けの意思表示の取消しとの比較で見ておきましょう。

さらっと解説しておくと制限行為能力者による取消しについては設立時でも募集株式においても認められています。
民法93条、94条については常に認められません。
民法95条、96条については分かれ目になります。
ただしすでに議決権を行使してしまっているなどの場合は主張できないので注意しておきましょう。
おそらく93、94条と95、96条の表意者の帰責性に違いがあるのかなと思います。

最後に設立者などの責任についてです。
この論点も本試験ではけっこう聞かれるところなので正確に知識を整理しておきましょう。
ポイントはどのような責任があるのかとどこまでの範囲の人が責任を取らされるのかとどのようなケースで責任が免除されるのかというところです。

まず一つ目の責任が現物出資などをしたけれどもその価額が不足していたという場合の不足額填補責任です。この責任は発起人や設立時取締役、出資をした本人が填補しなければいけません。大事なのは監査役が入っていないというところですね。
ただし、これは無過失責任ではありません。
検査役の調査があった場合やそれぞれが注意を怠っていないこを証明した場合は責任を免れることができます。でもでも募集設立ならば注意を怠っていないことを証明しても責任を負わされます。そして当然に現物出資をした張本人は不足額を払わなければいけません。
ここは責任負わされたり、免除されたりと混乱しやすいところでもありますが正確に押さえておかないと点にならないところです。

少し整理します。
責任取るのは発起人、設取、出資者。
でも出資者以外は検査役の調査、注意懈怠してないだと責任免除。
ただし募集は検査役調査以外は免除なし。

このように受験時代はできるだけ簡素に覚えていました。
でないと本試験の極限の緊張状態と時間との戦いの中で武器になりません。
あれやこれやとなかなか出てこない知識は本試験では使い物にならないのでなるべく知識を正確にかつ軽くしておきたいところです。

まだ少し責任論点は残っていますが今日はここで終わりにします。