前回に引き続き農地法の許可について残りの論点をみていきます。

前回の農地法の許可の記事はこちら

農地の論点については残りわずかですがどれも重要なものばかりですからしっかり勉強しておきましょう。

贈与契約という移転原因で許可をもらっていたが実は売買契約でした、というケースではもう一度許可をもらい直す必要がありますね。
けっこうどのように農地が移転したのかが重要だったりするんですね。

さらに許可証はA、B、Cへの許可証になっているのにAのみへの移転の登記はできません。

ほかにもA2分の1、B2分の1への許可証なのにA3分の2、B3分の1のように異なる持分での移転登記はできません。

許可証の面積が実際の面積と多少異なっていたとしても同一性の判断ができるのであれば登記は受理されます。

売買などの契約後に移転登記も済ませたが債務不履行で法定解除をするときに農地の許可証はいりません。なぜなら民法に定められているため前回お話した三権分立ですね。
これが合意解除なら必要です。

前回のブログでも少し触れましたが遺産分割ならば許可は不要です。
ところが注意しないといけないのは「遺産分割による贈与」というワードですね。
この場合はただの贈与なんで許可は必要です。
登録免許税も普通に1000分の20かかりますからね。
「遺産分割による贈与」はあくまでも遺産分割のやりとりの中で行われるただの贈与契約ですからね。

では最後に農地と物権変動についての論点です。
ここも記述式ではかなり要注意のところなので注意しましょう。

A(売主) B(買主)
(死亡)

c(相続人)

上記の図で、
事例① Aが農地をBに売却した後にAが死亡してからBに許可証が届いたらいきなりB名義への移転登記はできませんね。
農地法の許可証は物権変動の効力発生要件でもありますので、この場合Bへ所有権が移転する前にCへ相続により所有権が移っています。
よってまずはCへの移転登記をはさんでからBへの移転登記をすべきです。

事例② Bへ許可証が届いた後にAが死亡した場合はすでにBへの物権変動がおこっていますからいきなりB名義への移転登記ができます。
この場合はCからの相続人による登記になります。

ところが農地法の許可を条件とする仮登記をしていれば事例①のケースでもいきなりB名義への本登記ができますね。ここまでしっかり押さえておきましょう。