今週は株式の株式併合、分割、無償割り当て、そして単元株について勉強していきましょう。必ず比較の視点をもって見ていくようにしましょう。
まずは併合と分割についてです。
併合は多くの株式を発行していて株主への通知が大変だったりするときに使われるものです。たとえば、5株しか保有しいない株主がいて、この度、会社が10株を1株に併合する決議をした場合、この株主は議決権を失いますね。
このように併合は基本的に株主にとっては不利な制度です。
これに対して、分割は現在の株式を分割して数が増えるだけなので既存の株主に不利ではありません。
以上のような違いから併合は特別決議、分割は普通決議(取締役会設置ならば取締役会でOk)になります。
さらに株券提供公告については併合は必要ですが分割は不要です。
322条のある種類の株主に損害を及ぼすおそれがあるときはその種類の株主総会が必要な点は同じです。
これは分割であってもあり得る事態です。
たとえば、A種とB種の種類株があったとして今回A種のみ株式分割の決議があればA種の株式のみ議決権が増加することになりますからね。B種の株主に損害を及ぼす可能性があります。
ここからは併合のみにスポットを当ててみます。
近年、改正された分野なのである程度の情報はいれておきましょう。
株式併合はスクイーズアウトの手法としてよく用いられることがあります。
大株主が特別儀で少数派株主を1株に満たない端数株主にして追い出すんですね。
このため改正会社法は株式併合について少数派株主の保護を考えました。
これが182条以下に新設された株式併合の差止め請求や反対株主の買取請求ですね。
ここでの買取請求は116条1項3号の買取請求とは別物なので注意しましょう。
あくまでも併合により端数株主になった株主を保護する趣旨での買取請求です。
また差止め請求については特別支配株主の売渡請求の差止めなども含めて勉強しておいてください。
さらに改正点として株式併合の決議において効力発生日の発行可能株式総数を定めなければならなくなりました。ここで公開会社ならば4倍ルールに縛られます。
また182条で効力発生日に発行可能株式総数についての定款変更をしたものとみなす規定まで新設されました。
このあたりの変更点は択一でも記述でも問われる可能性がありますので押さえておくようにしましょう。
次回は無償割り当てを中心に触れていきます。