今週も単元株について見ていきましょう。
まず単元株のイメージから勉強しておきましょう。
単元株は議決権を有する株主を減らして会社の運営コストを削減するなどの目的に使われる制度です。
たとえば、株主総会を開催するのに少数株主にまで召集通知を発するのはかなり費用がかかりますからね。
株主にとってはけっこう不利になるものと考えられています。
そのため決議要件は特別決議になります。
ただし例外として株式分割とセットでかつ、その分割比率内で単元株を設定、増加するのであれば取締役会決議(取締役の決定)ですることが可能です。
1株が10株に分割されて10株1単元とされた場合、結局議決権の個数は変わらないため、株主に不利益ではありませんからね。
この論点は記述式でもよく出題されますので瞬時に反応できるようにしておきましょう。
これとセットで勉強しておきたいのが株式の分割と発行可能の増加ですね。
発行可能株式総数の増加は本来、重要事項なので特別決議が必要ですが株式の分割と同時で分割比率内の増加であれば取締役会決議(取締役の決定)で決議可能です。
ただし現に2以上の種類株式を発行していないことが条件です。(この“現”にというのはとても大事です)
ここも記述で非常によく出題されていますから要注意ですね。
記述で出題されるならこんな流れです。
①A種株式とB種株式(完全自己株)を現に発行していた。
②株式の分割と同時に分割比率内で発行可能の増加を取締役会で決議した。
現に2以上の種類株式を発行しているからアウトかと思いきや、②の直前に自己株が消却されていて決議適法なんてこともあります。
逆もしかりで、最初はA種類株式のみ発行されていたのに②の直前にB種株式が募集株式で発行されて決議却下もありです。
記述式は却下事由を探すのにかなり時間と労力を取られますのであらかじめ却下のストーリーを連想できるようにしておくのもありだと思います。
少し話しが脱線しましたが次週、単元株について掘り下げていきましょう。