今週も前回に引き続き吸収合併の残りの論点を見ていきましょう。

まずは債権者保護手続きについて。

A社でもB社でも必要です。
A社では会社に対して債権を有していた債権者がいきなり今度からB社に対して請求しなければいけないとなると大変ですからね。

またB社の債権者に対しても保護手続きは必要です。
これはA社の債権者がB社に移ってきてB社の債権者が増えるということは既存のB社の債権者がB社から債権回収ができなくなるリスクが高まるからですね。

次に反対株主の買取請求です。

A社もB社も基本的に可能です。

ただし、A社においてはB社からの対価が持分のときは全員の同意を必要としているため反対株主はいないので注意が必要ですね。
またB社では近年改正のあった簡易合併についても注意が必要です。
このときは反対株主の買取請求は認められていません。

ここで簡易組織再編についてまとめておきます。
簡易に組織再編をする場合は反対株主の買取請求は認められなくなりました。
また、組織再編などを辞めることの請求、つまり指止め請求もできなくなったことに注意が必要です。
改正により簡易組織再編のケースでは株主はかなり弱い立場になっています。

最後に新株予約権者についてです。

突き詰めると非常に複雑ですが受験レベルでは必要ないかと思いますのでここはシンプルに押さえておきましょう。

A社の予約権者は当初の契約と異なっていれば買取請求できます。
A社の株式をもうらえと思ってたのがいきなりB社の株式を渡されてはたまったもんではありませんからね。

B社の予約権者は何の影響もありません。
よって買取請求はありません。

ほかにも書類の備え置き期間や無効の訴えなども必ず見ておくようにしましょう。

次週は会社分割に移っていきます。