印象的だった遺言書作成のご依頼
先日お引き受けしたご依頼が、私にとっても非常に印象的でしたので、その内容を少しご紹介したいと思います。
そのご依頼のご依頼者様は、昨年末に旦那様を亡くされたご夫人で、ホームページ経由でのお問い合わせがありました。
ご依頼の内容としては、「夫名義のマンション・駐車場・預貯金・土地などの相続手続きをしたい」とのことだったのですが、それと同時に、ご依頼者様ご自身もお年を召しておられたので、「ゆくゆくのことを考えて遺言書も作成したい」とのことでした。
ご依頼者様のご家族は大変仲がよく、皆さんとても良い雰囲気の中で、相続手続き自体はスムーズに進めさせていただきました。
その後、遺言書の作成についても相談を進めていったのですが、その中でご依頼者様が何度も以下のようなことをおっしゃっていました。
「地方に土地を保有しているのですが、その土地は私の母が戦後に苦労して取得した土地なので、どうしても直系の子どもに代々引き継がせていきたいんです。」
お話をしながら、ご依頼者様の「この土地が他家に行かないようにしたい」という強い意志を感じましたので、遺言書の内容にプラスして付言事項を書かせていただきました。
付言事項というのは、遺言書に記載されている内容の中で、法的効力をもたない事項のことです。家族へのメッセージや、葬儀や納骨の希望などが書かれたりもします。法的効力はありませんが、付言事項が有るのと無いのでは、遺言書の温かさが変わってきます。実際の相続手続きの場面で、故人の意思を感じながら相続を進めることができます。
そして、遺言書作成の当日。
ご依頼者様は非常に緊張された面持ちでいらっしゃいました。
ちなみに、遺言書作成の証人として推定相続人は同行できないため、私と事務員が同行して参りました。
準備していた通り、付言事項に「先祖が苦労の末に手に入れた土地なので、直系の相続人の間で代々引き継いでほしい」という内容を付け加えたのですが、その時にふとご依頼者様のお顔を見ると、涙が頬をつたっておられました。
それと同時に、同行した当事務所の事務員や、公証人役場の方も目頭が熱くなっている様子でした。
私にとっても非常に感動的で、印象に残る遺言書作成のご依頼となりました。