自筆証書遺言と公正証書遺言の違いって?
遺言書を作成する際には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つの種類があります。
ただ、この2つの遺言書の種類についての違いや、それぞれのメリット・デメリットが、意外と分かりにくかったりもしますので、それについて詳しく説明していきたいと思います。
また、どちらの遺言書のほうがお勧めなのかについてもお話しますので、参考にして頂ければと思います。
自筆証書遺言のメリット・デメリット
自筆証書遺言というのは、読んで字のごとく、ご本人だけで作成する遺言のことです。
メリットとしては、
●いつでも遺言書を書ける
●遺言書の内容を誰にも知られることなく書ける
●遺言書の作成に費用が発生しない
というものがあります。
ただし、デメリットとしては、ご本人がお亡くなりになった後、実際に遺言書を執行するまでに手間と時間がかかるんですね。
自筆証書遺言の場合には、ご本人がお亡くなりになった後、相続人全員の立ち会いのもと、家庭裁判所での「検認(遺言書の内容の確認)」という手続きが必要になります。
さらに、もう一つ大きなデメリットとしては、ご自身で書かれるので、必要事項の記入漏れなどがあって、遺言書としての法的な効力を持たないケースも多いんですね。
例えば、年月日が抜けているだけでも効力を発揮しません。
なので、自筆遺言証書は、「気軽に作成することができる反面、デメリットが大きい」ということが言えます。
公正証書遺言のメリット・デメリット
公正証書遺言というのは、公証人役場で公証人の立ち会いのもと、作成する遺言のことです。作成時には証人2人も交えて作成しなければなりません。
公正証書遺言に関しては、まずはデメリットから説明しますが、
●自筆証書遺言よりは手間がかかる
●公証人・証人を交えて作成するため、内容を誰にも知られないわけではない
●公証人費用や、専門家への依頼料がかかる
というものが、公正証書遺言のデメリットとしてあげられます。
ただし、公正証書遺言には、そういったデメリットを加味しても、余りあるくらいメリットがあります。
【公正証書遺言のメリット】
まずは、公証人という法律のプロが作るものなので、間違いなく法的に有効な遺言書を作ることができます。
自筆証書遺言のように「いざ執行しようとしたら法的に効力のないものだった…」なんてことが無いんですね。
また、原本は公証役場にて、ご本人が120歳になるまでは保管されています。そのため、紛失や盗難などの恐れもなくなります。
ちなみに、自筆証書遺言の場合には、この「保管場所」というのもトラブルになりやすいポイントで、例えば「保管場所をご本人しか知らないので遺言書が見つからない」とか「信頼できる人に託したつもりでも偽造変造される可能性もある」というようなリスクもあります。
そういった意味でも、公正証書遺言だと安心できるんですね。
そして、公正証書遺言のメリットはもう一つあって、実際にお亡くなりになった後に、公正証書遺言であればそれだけで遺言執行の手続きに入ることができます。
自筆証書遺言のように「家庭裁判所で相続人の立ち会いのもと…」なんて必要がなくなるんですね。
遺言書のまとめ
以上を読んでいただけると分かるように、自筆証書遺言の場合は気軽に作成はできますが、その反面、デメリットやトラブルのリスクもあります。
そして、公正証書遺言の場合には、費用こそ発生するものの、その後の遺言書の保管や執行に関して保証されています。
遺言は何度でも書き直すことができますので、「まずは自筆証書から」というのも有りだと思いますが、やはりトラブルを避けしっかりと遺言を執行することを考えると、公正証書遺言を作成されるほうがお勧めです。
また、どちらの遺言の種類にしろ、お元気なうちに作成するのがベストですね。
ちなみに当事務所では、公正証書遺言・自筆証書遺言のどちらに関しましても、作成される際の全般的なアドバイスをしております。
いざ遺言書を作成しようと思った時に、「一体なにをどのようにかけば良いのか」ということが分からないことも多いため、しっかりとヒアリングして作成のお手伝いをさせていただいています。
また、公正証書遺言を作成する際の証人も承っております。
遺言書作成のサポートをしっかりさせていただいていますので、お電話やメールなどでお気軽にご連絡下さい。